日本三不動の一 ロゴ 瀧谷不動尊

彼岸と此岸

彼岸と此岸

暑い季節が過ぎ、雲のかたちが変わり、涼やかさを風が運んでくる頃には、
澄んだ空に中秋の名月が煌々と輝きます。
季節の移り変わりが肌に感じられる時、日本人は感性が鋭く心が豊かだとしみじみ思います。

暑さ寒さも彼岸まで・・・・・本当に季節の変わり目を実感します。
彼の岸と書いて彼岸、此の岸と書いて此岸(しがん)。
両方の岸を隔てるのは三途(さんず)の川です。此岸には今いのちある者。
そして、彼岸には今は亡き魂。此岸と彼岸が一つになる瞬間がお彼岸です。
彼岸の亡き人の魂と此岸の今いのちある人の魂がめぐり合い、語り合う時。
「今、自分はこうしている」「自分はこの先、こうしようと思っている。」
そんなことを語り合うことは、今ある自分を見つめる機会ともなります。

さて、「ガタピシ」という言葉に漢字を当てはめると我他彼此となります。
戸の立て付けが悪くて、すんなり閉まらないとガタピシするといいますよね。
我れと他、彼と此れ。それぞれがしっかり合わないとガタピシとなるのです。

-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者 片野 真省 師

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