日本三不動の一 ロゴ 瀧谷不動尊

お大師さまの八月のことば「きずな」

お大師さまの八月のことば「きずな」

 現代人はことさらに他の人びととの関係をないがしろにしているように思われます。それには、現代という時代の特別な事情が考えられますが、本来、一人の人間が生きている現場には、親子・兄弟姉妹・親戚・知人・会社の同僚・地域の人びと、社会等の絆が現実に存在しているにもかかわらず、あえてそれらをたって生きることは、自分の生命を実に軽く考えている証拠であるといわざるをえません。他人に迷惑をかけないで生きていきたいという人がおりますが、この社会に生きている以上、他人に迷惑をかけなければ生きていけないという現実を心にとめるべきであり、そして、他人からの迷惑もあまんじて受けるという覚悟が必要であります。実際のところ、生活するということは、自分が他人に迷惑をかけ、他人から迷惑をかけられるということではないでしょうか。

 心・佛・衆生は本性和同なること空と光とのごとし、無始無終にして断滅あること無し

(私と他人と佛とは、本来まじりあっているものであって、まるで空と光との関係のように見分けがつかぬものであります。その関係は始めもなく、終りもなく、とぎれることもないのであります。)
(『大日経開題』)

-当山御宝暦の法話から転載- 執筆者 福田 亮成 師

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