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お大師さまの十一月のおことば「もとめる」

お大師さまの十一月のおことば「もとめる」

 私達の日常生活におきまして、何かを求めようとした時、おのずと心は外にむかいます。しかし、仏教の真実は心の中にこそ求めるもので、決して外に求めるものではありません。では、本尊さまにむかって一心に祈念をこらすことは、外におわす本尊さまに心をむけることであるからして、外に求めることではないのかという疑問がおこってきます。
 確かに心を統一し、安定させる時に本尊さまに心を集中することはありますが、功徳とは祈念する人の心の中に自然と湧き上がってくるものでありまして、本尊さまの功徳を受け取る心組みがおのずと出来てくることによるものでありましょう。法というものは、ただよっているものではなく、人格を通してこの世に具体化するものであります。ご利益のあるお寺や、ご本尊さまは、そのご利益を持って帰るのは貴方ご自身だということです。
 
 自心に菩提及び一切智を尋求す。何をもっての故に、 本性清浄なるが故に。

(さとりや仏の智慧を尋ね求めるさきは自心よりないのです。それは、どうしてでしょうか。自身の奥深にある本性清浄という核があるからです。その本性清浄は、さとりや、仏の智慧につながっているからです。)
(『秘蔵宝鑰』)

-当山御宝暦の法話から転載- 執筆者 福田 亮成 師

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