日本三不動の一 ロゴ 瀧谷不動尊

11月末 うつりかわり

11月末 うつりかわり

 晩秋から冬にかけて、瀧谷山の辺りにある木々は順番に紅色や黄色に色づきます。そしてその中を、元気なお子さまたちが、「身体健全」「開運招福」の七五三参りにご来山されます。そのようなお子さまの元気な姿を見ていると、何となくうれしく、自分も元気になれそうと感じるのは私だけでしょうか。

 弘法大師は、その著書『秘密曼羅十住心論』で次のようなことを記しています。
「世間にあらゆる草木の、春は生じ、夏は栄え、秋は衰え、冬は落つるを観じて、無常を悟ってすなわち無学を成ず」

 あらゆる草木が四季に応じてうつりかわる姿を観じて世の中の無常を悟り、もはや学ぶべきことのない境地(無学)となる。
仏教の教えの特徴の一つに「諸行無常」があります。この世の中のあらゆるものが、うつりかわるという意味です。先程のあらゆる草木が四季折々の姿をみせるのも無常だからなのです。

 七五三でお参りになるお子さま方も、日々成長されます。それも無常だからです。活発なお子さまであれば、時には転んでけがもするでしょう。けがをすることも無常であれば、大抵のけがが治るのも無常だからなのです。しかし私たちは、無常なる存在が故に、不安が生じてきます。この先どのようになるのだろうか。無事に過ごせるのだろうか。だから、そのうつりかわりの不安を取り除くために神仏を祈るのです。少しでもよりよく変わりたいと。よりよく生きたいと。

 瀧谷のお不動さまは、そうした不安な心、人々の願いに応じてさまざまなご利益をくださいます。そして、お不動さまを祈りつづけることで、お不動さまを心において無常な世の中を平気でめげずに前向きに暮らしていけるようになります。祈るところに未来は開かれます。

 お子さま方の健やかなる成長を心よりお祈り申し上げます。

執筆者 真言宗智山派 東京都 圓應寺 住職
智山教化センター長 山川弘巳 師

一覧へ戻る