真言宗の宗祖弘法大師空海さまは、奈良時代末の宝亀五年六月十五日に、現在の香川県善通寺市にお生まれになりました。
二十四歳のときに「三教指帰」を著し、仏教こそが最高の教えであるとして出家を宣言され、山野をめぐる山林修行者として暮らしたと言われています。
三十一歳のときに、唐の長安に渡りました。はじめは、インド僧を訪ね、梵語や諸宗教を学び、ついに、青龍寺の恵果和尚より密教を相承いたしました。
密教を学ぶための許可を授かる灌頂のとき,曼荼羅に華を投じたところ、大日如来の図上に落ちたので、大日如来の別名である「遍照金剛」という僧名を恵果和尚から賜りました。そして、密教をつたえる第八祖となりました。
私たちは今、いつでもお大師さまの教えを学ぶことができ、そば近くに居て下さることを感じます。苦しいとき、悲しいとき、寂しいとき、うれしいとき、彼岸 へ向けて旅立った後も、お大師さまは、私たちのそばで慈悲深く導いて下さいます。お大師さまと共に居ることを「同行二人」と言います。
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者 佐藤 雅晴 師