お釈迦さまの十大弟子の一人に、多聞第一と言われる阿難尊者がいます。
ある時、静かに瞑想していると、餓鬼が現れ「あなたの命は三日で尽き、餓鬼道におちる」と告げ、難を逃れるには、修行者に布施をし、三宝を供養すれば、あなたの寿命が延び、多くの餓鬼も天上界に生まれ変わることができると告げて消えました。
阿難はお釈迦様より、功徳と思うがままの妙力を備えた陀羅尼をいただき、供養と施しをして難を逃れた、とお経に説かれています。
多くの寺院では、この教えに基づき、施餓鬼会法要が行われます。
私たちには、自分だけが満足すればそれで幸せという気持ちが心のどこかにあります。
しかし、それでは物欲に支配され、我欲にとらわれて悟りの妨げになってしまいます。人として、充実した生き方をめざすためには、周りの人の役に立ち、布施 の修行を行っているかを考えて暮らすことが大切です。弘法大師が願われた「この世を蜜厳国土」にとのお考えは、毎日の小さな積み重ねの中から、福徳が生ま れてくることを教えております。
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者 佐藤 雅晴 師