十一月に入ると、里山の紅葉も、日、一日と彩りを増し、収穫を終えた水田には渡り鳥が羽を休める季節となってきました。
各寺院でも、一年間の行事の集大成の時期です。
雪国や寒冷地では、正月、五月、九月に行われることの多い、大般若会をする所もあります。
大般若会は、西遊記でおなじみの、玄奘三蔵が翻訳した「大般若波羅蜜多経」六百巻を読み上げ、除災招福、世界平和、五穀豊穣を祈念する行事です。
このお経は、六六三年に翻訳が完成し、玄宗皇帝は、その偉業を称えて、「般若経」の講演会を催したのが、法要の始まりとされています。日本では、大宝三(七〇三)年に初めて法要が催され、国家安泰と除災招福が祈念されました。
今日の大般若会では、多くの僧が六百巻のお経を高らかに転読します。このお経をめくる時に起きる風にあたると、風邪をひかないとも言われています。
皆様も、大般若会に参加していただき、法の功徳に浴していただいて、息災安穏をお祈りしてはいかがでしょうか
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者 佐藤 雅晴 師