お不動さまは、剣以外もお持ちになっています。
「羂索(けんさく)」という持ち物は、両端に重なりが付いた縄です。
もともと古代インドでは戦いに用いたり、
猟具として使用したのが始まりのようです。
それをお不動さまが採用されたのには理由があります。
人間にも千差万別、十人十色。聞き分けのいい者から、臆病者、お調子者、
ひねくれ者に、疑い深い者、さらには徹底抗戦する者と多種多様です。
その中でもお不動さまは教化し難い者をもしっかりと導きます。
その時に、この羂索で抵抗する者をがっちり捕縛してしまいます。
それは救い難い者の「魔」をやっつけてしまうことであり、
がっしりと抱きしめることでもあります。
そして必ずや救いの道に進ませるのです。
お不動さまから「お縄頂戴」されることは、実はありがたいことなのです。
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者 柳下 純悠 師