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お大師さまの七月のおことば「かわらない」

お大師さまの七月のおことば「かわらない」

 人間には理性とか、良心とかを誰でもそなえております。お大師さまのお言葉を借りますと“自心仏”ということになります。しかし、理性とか、良心とかは状況によって変化しやすいものです。“自心仏”は心中にどっしりと居座りつづけているものであります。しかし私達の日常生活は、善と悪との間をさまよいつづけているのです。それは、時間と空間のなかで対立し混乱しているといってもさしつかえありません。そのような中にあって、私達は悩み、苦しみ、喜び、楽しんでおります。そして、喜びや楽しみの多い人生を幸福とし、悩みや苦しみの多い人生を不幸と考えるのであります。実に不安定というよりありません。早く自心仏のあることを思い定め、たえず幸・不幸にゆれうごいている生活から脱出しなければなりません。幸・不幸にみだされない自身を確立すべきであります。

 遠くして遠からざるは、すなわち我が心なり。絶えて絶えざるは、これ吾が性なり。

(うつろいやすい心にまどわされ、自分の正体が遠くに見えたり、絶えてしまったりと思うのでありますが、実は自身のなかにあって一貫してささえてくれているのが自心佛ということです)
(『性霊集』第六)

-当山御宝暦の法話から転載- 執筆者 福田 亮成 師

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