国家の運営をになう政治家・役人は清廉潔白でなければなりません。お大師さまは、若い官吏の一人から上司が不生をしていることについてどのようにいさめたらよいかの相談を受けました。いさめることの注意として、その人の悪を改めて善にしたがわしめることです。ですから、かえって悪が助長され、悪意をもたれたりしてはお互いに不幸になるばかりです。そのことを充分に注意しなければなりません。政治と、菩薩の精神も、つねに衆生とともにあることが貴いことですと、さとしていくよりありません。といっております。このことは、政治家だけの問題ではなく、私達一人一人のテーマであるといっても過言ではありません。それぞれのあたえられた仕事や立場にたって、常に人びとと共にあって自己を尽すよりありません。
まさにもって、天下の父母と与じて万人の塗炭を漉わんがためなり。
(政治ということの最も大切なことは、天下の父母と共に、すべての生きとし生けるものの苦しみをすくいとることであります。)
(『秘蔵宝鑰』)