私たちの誰にでもある「仏さまの心」を「一覚(いっかく)」といいます。仏さまの心とは、あらゆる生命を、他人の物を、お互いを大切にし、正直で、優しく、思いやりがあり、惜(お)しみなく施(ほどこ)しをして日々にこやかに暮らす心です。
私たちは、つい嘘をついたり、怒ったりなどなどしてしまうので、私の心に仏さまの心があるなんて、にわかには信じがたいですが、仏さまの教えを実践して、私の心が仏さまの心と同じだと気づくことが大切なのだよ、というのがお大師さまの教えです。
「大日如来(だいにちにょらい)よ、その智慧の光明で、生きとし生けるものすべて、空を飛ぶ鳥、地に住む虫、水に泳ぐ魚、林に遊ぶ動物もふくめた、すべてのいのちを、みな等しく仏の世界に入らせたまえ(入一覚)」(『精霊集(しょうりょうしゅう)』)。
この一年、私の中の、仏さまの心を磨(みが)いてまいりましょう。
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者:東京都港区 真言宗智山派 宝生院住職 小山龍雅 師