金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)に描かれる九つの仏さまの世界を「九会(くえ)」といいます。
中心で大日如来(だいにちにょらい)の悟りの様子{成身(じょうじん)}を表す「成身会(じょうじんえ)」。成身会下方、仏さまの願いを仏具で象徴(しょうちょう)する「三昧耶会(さんまやえ)」。三昧耶会左、大日如来の智慧が不壊(ふえ)で、細かく広がることを表す「微細会(みさいえ)」。微細会上方、仏さまお互いの供養を表す「供養会(くようえ)」。供養会上方、曼荼羅の構造を四つの印で簡略に表す「四印会(しいんえ)」。四印会右、曼荼羅の仏さまを大日如来一尊の印で象徴する「一印会(いちいんえ)」。一印会の右、『理趣経(りしゅきょう)』に基づき金剛薩埵(こんごうさった)を中心尊に描く「理趣会(りしゅえ)」。理趣会下方、金剛薩埵が私たちを救うために降(ごう)三(ざん)世(ぜ)明王(ごうざんぜみょうおう)の怒りの姿に変じた「降三世会(ごうざんぜえ)」。降三世会下方、降三世会の仏さまの願いを仏具で象徴する「降三世三昧耶会(ごうざんぜさんまやえ)
仏さまから私たちへの慈悲(じひ)の働きは、成身会から降三世三昧耶会に向けて説かれ、私たちの修行は降三世三昧耶会から成身会に向けて表されています。曼荼羅を拝む時の参考に……。
-当山御宝暦の法話から転載-
執筆者:東京都港区 真言宗智山派 宝生院住職 小山龍雅 師