日本三不動の一 ロゴ 瀧谷不動尊

智慧と慈悲

智慧と慈悲

 仏教では智慧と慈悲は二つにして一であり、この二つが車の両輪の如く相まって初めて真理がみえてくると説きます。慈悲について愛とよく比較されますが、本当の慈悲は盲目的な愛、つまり、ただ可愛がるだけの愛とは違います。物事を客観的にみる真の智慧によって裏付けられた愛が仏教における慈悲です。さてここで、家庭の中の親子関係について考えてみましょう。親の子に対する愛情は幾人子供がいようともその間には甲乙の区別はありません。しかし、父親と母親では子供に対する愛情表現の仕方に違いがあると思います。それは、叱ってくれる愛情と抱いてくれる愛情です。叱ってくれる愛情が智慧の世界です。抱いてくれる愛情が慈悲の世界です。誰しも本気で叱ってくれる人や、無条件で抱擁してくれる人がほしいのです。ある時は叱り、ある時は抱く、それで子供は横道にそれず、邪道に陥らず、まっすぐに伸びていくのです。

執筆者
埼玉県加須市不動岡
真言宗智山派
不動ヶ岡不動尊 總願寺住職 山口眞司師

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