日本の旧暦では立春に近い新月の日が一月一日とされています。その前日が節分です。文字通りその日を境に季節を分けるという意味です。
古来、日本ではその節分の日に、邪気を払い新春を迎えるという行事が伝統的に行われてきました。
節分につきものの鬼は、鬼門つまり丑寅(うしとら)の方角になぞらえ、牛のような角と虎の毛皮を腰に巻いて登場します。その鬼を追い払うのには炒った大豆が使われます。魔の目を射る、ということでしょう。
ことによったら、私達の心の中にも邪鬼が住んでいるかもしれません。お不動様のお力をお借りして、邪鬼を追い払い、すがすがしく心眼を開いて、春を迎えようではありませんか。
春は万物が「発」(は)る、木の芽も張(は)る季節。まだ産声をあげたばかりの春ですが、春は日増しに立派に育ってゆくことでしょう。
執筆者 寺田 信彦師
略歴:千葉県館山市沼
真言宗智山派 總持院住職
真言宗智山派 専修学院長