「今日、彼岸、菩提の種をまく日かな」
お彼岸と言えばお寺参り、お墓参り。ご先祖様や神仏に感謝し、生かされていることの在り難さを実感する日です。
菩提とは仏様と同じ正しい悟りの心とそれに基づく行ないを指します。
彼岸とは仏様の側の岸のことで、俗世側の岸は此岸(しがん)です。お彼岸を機に、菩提心を育てたいものです。
平家物語、壇ノ浦の合戦で、平知盛は「見るべきほどの事は見つ」と言い残して入水します。「見つ」に込められた思いは、一門を率いる大将として、興亡の総てを見てきたという意味と、この世の事(俗世)は見切った、次には彼岸がある、との意味にもとれます。
平家一門が救いを求めた阿弥陀様も、皆様ご信仰のお不動様も、みな大日如来様の化身です。
お彼岸に際し、瀧谷不動明王様の千二百年の永きに亘り、数限りない人々をお救いしてきた歴史に思いをはせてみましょう。
執筆者 寺田 信彦師
略歴:千葉県館山市沼
真言宗智山派 總持院住職
真言宗智山派 専修学院長