日本三不動の一 ロゴ 瀧谷不動尊

三月 三業さんごう三密さんみつ

三月 三業が三密に

 弘法大師が開かれた真言宗の教えの中に「三密」という考え方があります。衆生の身(体の行い)・口(言葉の行い)・意(心の行い)を普通には三業といいますが、本質的には仏のはたらきと同じであるとして、これを三密と申します。そこで衆生の行い(三業)を、仏の行い(三密)へと転換することが課題となります。

 大乗仏教の教えに「上求菩提下化衆生」という考え方があります。自ら仏の悟りの世界を求めて努力する一方、まだそのような気持ちになっていない人にも悟りの世界の素晴らしさを説いて共に悟りを目指して歩むことが大切であると説かれています。

 前にもお話しした十善戒の、不殺生・不偸盗・不邪婬は身、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌は口、不慳貪、不瞋恚、不邪見は意と解することができます。簡単に言えば悟りを目指す人にとって、十善戒の実践はとても重要なことなのです。

 要するに、自ら悟りを求め、仏を念じて日々精進し、仏と出会ったその時が、即ち三業が三密となった瞬間と言えるのではないでしょうか。

 三月二十一日は、お大師さまがご入定なされた日です。皆様もお大師さまを心に念ずる生活をしてみてはいかがでしょうか。

執筆者 高麗行真
略歴:東京都西東京市泉町
真言宗智山派 如意輪寺住職
真言宗智山派 教学部長

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