旧暦では、お盆は八月となります。この季節、多くの人々が自分の生まれ故郷に里帰りするという習慣が今でも続いており、また実家に戻ってご先祖様のお墓にお参りされることもご存じのとおりです。
日の暮れる頃、提灯のローソクに火を燈し、その明かりを頼りにお墓参りをしていた頃が懐かしく思い出されます。
この「明かり」という言葉もまた、仏教では大変重要な意味内容を含む言葉であると言えます。「除暗遍明」という言葉がその代表的なものであり、自分の心の中にある無明という暗を取り除いて、悟りの智慧という「明」に導かれて菩提を実証することにあると説かれています。
お大師さまの「高野山万燈会の願文」は、まさにこの事をおっしゃっていると言えます。更にその誓願として「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなん」とも述べられておられます。
私達もまた、お大師さまの深意を自分の真意として、共に同じ悟りへの道を歩みたいものです。 きっとお大師さまも、私達に寄り添い一緒に励ましてくださっているはずです。
執筆者 高麗行真
略歴:東京都西東京市泉町
真言宗智山派 如意輪寺住職
真言宗智山派 教学部長