ここで仏教の説く「菩薩」について少し考えてみたいと思います。
大乗仏教では、菩薩は仏になれる候補者として必ず成仏するものである、と説かれています。特に『般若経』に於いては、そのために六波羅蜜多行を修行することが前提となっています。これを菩薩行といいまして、その第一番目に来る徳目が布施です。
皆様はお布施と聞いて最初に何を思い浮かべるでしょうか。お寺に志納される金品のことでしょうか。確かに財施は重要な要件の一つですが、そればかりではありません。
仏教が説く悟りの真髄を説き示すことは更に重要なことで、これを「法施」と言います。またこれにより心中の恐れを取り除いてあげること、これを「無畏施」と言います。
そして、布施する人、される人、布施する物事、この三事に執着しないことが、仏教では理想とされています。これを三輪清浄と申しますが、清浄という意味の一つは執着しないということです。
菩薩の清浄なる布施行は、思っている以上の大きな働きをするものなのです。皆様も自分でできることから始めてみては如何でしょうか。
執筆者 高麗行真
略歴:東京都西東京市泉町
真言宗智山派 如意輪寺住職
真言宗智山派 教学部長