瀧谷不動尊の本堂には「えとの守り本尊さま」がおまつりされています。
ご本尊のお不動さまは酉年の守り本尊さまです。また、本堂の奥の回廊には右側から、千手観音菩薩(子年)、虚空蔵菩薩(丑年・寅年)、文殊菩薩(卯年)、中央の「奥の院」は洞窟になっておりその一番奥に大日如来(未年・申年)がまつられています。
中央から左側へ進むと、普賢菩薩(辰年・巳年)、勢至菩薩(午年)、阿弥陀如来(戌年・亥年)の順にそれぞれ守り本尊さまがいらっしゃいますので、どうぞご自身の生まれ年の守り本尊や、本年の守り本尊(卯年は文殊菩薩)にご参拝ください。
守り本尊は、私たちが生まれながらにしてご縁をいただいている仏さまです。私たちは誰もが仏性(仏の性質・人が仏となる種子)をもって生まれているのですから、すべての人が同じように仏さまの大きな慈悲の力を授かっています。しかし、忙しい日常や悩みごとなどによって、そのことに気づくのが難しい心の状態になると、心の中の仏性が煩悩の雲に覆われてしまい、仏さまの慈悲の力を受けとめることができなくなってしまいます。
そうした難しい状況にある時こそ、仏さまに手を合わせてありがたいご加護を授かってください。生まれ年によってすでにご縁をいただき、「守り本尊」として私たちを守ってくださる仏さまですから、きっと良いお導きがあるはずです。
手を合わせるときには少しコツがあります。
「加持(または加持感応)」といって、「仏さまと心が通じあう方法」です。
弘法大師さまが著書の中で「仏さまと加持(感応)する」ことについて、そのコツを教えてくださっています。
「加持する」というのは、「如来の大悲」と「衆生の信心」が一体になることである。仏さまの慈悲の光が、私たち衆生の心に降りそそがれることを「加」といい、私たちが仏さまを心の底から信じ、その心の中に仏さまの光を受けとめることを「持」というのだ、と。(原文通りではなく、少しわかりやすく説明しています)
仏さまの光明は常に私たちに向けられていますから、私たちが仏さまに心を向けて、その光を受けとめるようにすれば「仏さまと加持(感応)する」ことができるのですね。
少し深呼吸をして、心しずかに手を合わせ、ゆっくりと呼吸をしながら心の中にあたたかな光を観ずるようにすると良いでしょう。
執筆者 千葉県南房総市
真言宗智山派 勝蔵寺住職 田口秀明